なぜ、麻疹・風疹混合ワクチンを2回接種しなければならないのでしょう?

 麻疹が重症な病気であることはご存知のこととおもいます。
2000年から2001年にかけての全国的麻疹の大流行では50名以上の尊い命が麻疹でうしなわれたと推測されています。2001年の全国調査で117の医療機関で重症麻疹で入院されたかたは2016人で、その内訳は1歳未満が21.5%。16歳以上5.4%でした。このうち麻疹ワクチンを受けていなかった方の割合は92.3%でした。(接種済みで入院3.7%)

 その後の日本小児科医会の麻疹制圧のためのキャンペーンの効果もあったのか、2004年の同じような全国調査では101の医療機関の調査で重症麻疹で入院した患者数は80名と2001年の約25分の1に減少しました。しかし、その中には予防接種を受けたのに入院になった方が11.3%で2,001年の約3倍増加しています。また16歳以上の入院が20%もみとめられました。
 これは一度麻疹ワクチンの接種をうけたにもかかわらず、感染してしまった子供が多く含まれていることを意味します。このことは予防接種が効かない(primary vaccine failure)か、予防接種の効果がおちたために罹患した(secondary vaccine failure)のどちらかです。

 ワクチン先進国のアメリカなどの流行のない国のデータによると麻疹ワクチンの1回接種法では効果は7−8年(風疹は5年ぐらい)で落ちてくるといわれています。
 このことは麻疹の流行の変化から、今までの麻疹1回接種では十分な予防対策にならないといえます。この結果こそ麻疹予防接種の2回接種の必要性を示すものです。

以上のデータは日本小児科医会会報 峯真人先生の論文を参考にいたしました。
                                         (文責;岡本 則彦)

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