岡本こどもクリニック
  喘息治療のお話

今回は、ウイルス感染時の喘息増悪時の追加治療に関する新しい考え方についてお話していきたいと思います。

気管支喘息の発症、増悪にウイルス呼吸器感染は重要です。

最近のウイルス感染による増悪のメカニズム

1)気道粘膜の傷害
2)化学伝達物質(ロイコトリエンなど)の遊離にともなう粘液分泌や呼吸筋の収縮
  (ヒュウヒュウの本体)
3)粘液が増加による気道内腔の狭窄
4)気道粘膜に炎症細胞(白血球など)の浸潤   など


気道感染にひきつづいておきる気管支喘息は、アレルギーが原因でおこった喘息発作より、より長引く傾向にあります。体力のないお子さんには、とても苦しく、つらいものなので、できるだけ早く症状を軽くし楽に呼吸ができるようにしてあげたいものです。

細気管支炎をおこすRSウイルス感染後の小児喘息に対し、抗ロイコトリエン薬が喘息症状を軽くしたという研究報告もあります。

この、「抗ロイコトリエン薬」はどのような薬かというと、アレルギー用剤の中の「ロイコトリエン受容体拮抗剤」と呼ばれるグループに属するお薬です。

効能、効果は、気道・鼻粘膜の炎症や気道を収縮させる物質の働きを抑えて、気管支喘息やアレルギー性鼻炎の諸症状を改善させる というものです。気管支拡張剤やステロイド剤とは異なり、喘息の発作を速やかに鎮めるという薬ではありません。自己判断でお薬の服用を中止したり、量を加減したりすることなく、医師の指示通りに飲み続けることが重要です。

そもそもウイルス感染でロイコトリエンの産生が亢進していることを考えれば、ウイルス感染後のゼイゼイに抗ロイコトリエン薬を投与するのは理にかなっています。

また、分泌物が鼻の奥につまりゼロゼロが増悪したケースでは鼻処置や利水作用のある漢方薬の併用も有用であることも納得のいく治療法といえるでしょう。

喘息増悪時に限ってということではなく、常日ごろより水分を多くとり、痰などが出やすくするように心がけることも大切です。